膠原病

「膠原病」とは「疾病グループの総称」

病気は臓器にある、という従来の考えを一変させた「膠原病」。膠原病という名前は病名ではなく、細胞の結合組織や血管に病変が起こる「疾病グループの総称」です。

膠原病は多臓器疾患

膠原病は多臓器疾患膠原病は、なかなかわかりにくいといわれます。その理由のひとつは、胃なり心臓なり、病気が起こる臓器をどこかに特定できない、というところにあるようです。そもそも膠原病という考えが提唱された当時は、医学界からも理解されなかったのです。
それまでの医学界では、「病気は体の特定の臓器に存在するもの」として、胃、心臓、肺など臓器別に病気を考えたからです。膠原病のような、体じゅうのいたるところにある臓器に、同時多発的に異変が起こる「多臓器疾患」という発想は、なかったのです。
膠原病は1942年、米国のポール・クレンペラーという病理学者によって提唱されました。それ以前から、胃や腸、肺、腎臓など、さまざまな臓器に脈絡もなく次々に病変が起こり、ある人は肺炎で、またある人は腎不全で命を落とすことがありました。こういった患者さんは、ごく特殊な例ではなく、常に一定程度いることが指摘されていました。

膠原線維の共通する変性(フィブリノイド変性)

フィブリノイド変性クレンペラーは、このような原因不明の病気で死亡した患者さんの病理組織を顕微鏡で詳しく調べました。最初は細胞に問題があると考え、詳しく検査をしたのですが、異常は見つかりません。そこで細胞と細胞の問にあって、細胞同士を結びつけている結合組織の成分(膠原線維)や血管の検査をしてみたところ、共通する変性(フィブリノイド変性と呼ばれています)を発見しました。病気は、なんらかの原因で膠原線維が変化し、機能が障害されて起こると考えられました。
膠原線維という名前にはなじみがなくても、コラーゲンといえば、皮膚などを若々しく保つ物質として知っているという人も多いでしょう。コラーゲンは、結合組織内に含まれている線維性のタンパク質で、細胞と細胞をくっつけるのりのような働きがあり、臓器などを形づくる役割を担っています。クレンペラーは、この膠原線維の名をとって、病気を「コラーゲン・ディジーズ」と名づけました。膠原病は、その和訳です。

膠原病に含まれる病気

「病気には、どの臓器と限定できない、体全体に分布する結合組織に起こるものがある」。これが、クレンペラーが考える膠原病でした。体じゅうにある結合組織の病変なので、病気も全身に起こる可能性があります。クレンペラーは、その後の論文で、膠原病を6つの病気(全身性エリテマトーデス関節リウマチ強皮症多発性筋炎皮膚筋炎結節性多発動脈炎リウマチ熱)にまとめました。
このうちリウマチ熱は、溶連菌という微生物による感染が原因とわかってはずされ、現在、膠原病グループには下表のような病気があげられます。

No.01
全身性エリテマトーデス(SLE)
No.02
関節リウマチ(RA)
No.03
強皮症(SSc)
No.04
多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)
No.05
結節性多発動脈炎(PN)
No.06
リウマチ熱(RF)
No.07
混合性結合組織病(MCTD)
No.08
シェーグレン症候群(SS)
No.09
ウェゲナー肉芽腫症(WG)
No.10
大動脈炎症候群(高安病)
No.11
リウマチ性多発筋病症(PMR)
No.12
好酸球筋膜炎
No.13
成人スティル病
No.14
強直性脊椎炎(AS)
No.15
ベーチェット病
No.16
再発性多発軟骨炎
No.17
ウェーバー・クリスチャン病
No.18
アジュバント病
No.19
抗リン脂質抗体症候群
No.20
その他

自己免疫疾患と呼ばれる理由

また現在では、必ずしも膠原線維に異常があるのではないこともわかってきています。実際には、結合組織に走っている血管(の内腔、壁、周囲)に、病気の原因となる反応が起こっていると思われるのです。
この反応とは、血液にある白血球が起こす炎症。白血球は、好中球やリンパ球などを含む免疫細胞で、ふつうは外から入ってくる病原体などの外敵を倒すために反応します。しかし膠原病では病原体が見つからず、自分の体の成分に反応しているようにみえます。膠原病が、自己免疫疾患と呼ばれる理由です。

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