膠原病

不育症の症状と治療


抗リン脂質抗体症候群の患者さんは、流産、死産、子宮内胎児死亡などの「不育症」を、繰り返すことがあります。不育症の症状と治療について紹介していきます。
不育症の特徴と症状

抗リン脂質抗体がリスク因子に

胎児と胎盤
習慣流産を経験した人の7~22%は、抗リン脂質抗体が陽性だったといわれます。そして抗リン脂質抗体症候群の患者さんは、流産、死産、子宮内胎児死亡などの「 不育症」を、繰り返すことがあります。
ふつう流産の原因になるのは、子宮自体の異常や、染色体異常ですが、抗リン脂質抗体症候群はこれらと並ぶ、流産の重要なリスク因子になります。
抗リン脂質抗体症候群によって胎盤で血栓がつくられると、胎盤の血液循環は極端に悪くなります。胎盤というのは、胎児が血液や酸素、栄養など成長に必要な成分を吸いと
り、不要な老廃物を母体に渡すところで、胎児と母体をつなぐ重要な場所です。ここに血栓ができてしまうと、胎児には栄養や酸素が十分に行かず、死亡に至ってしまいます。
通常の流産は、まだ胎盤が形成される前の 妊娠初期に起こるケースがほとんどですが、抗リン脂質抗体症候群の人の流産は、 妊娠中期妊娠後期にも起こるのが特徴です。
不育症の治療

治療方法


●抗リン脂質抗体が陽性でも、抗リン脂質抗体症候群の病態はあらわれないことが多いので、妊娠が初めての人には、とくに治療をしないというのが現在の考え方です。


●ただし血栓症の既往者で、流産や胎児死亡を経験している人は、流産の危険性が高いため治療を行います。


●治療は、基本的には少量アスピリン、プレドニン、ヘパリンを組み合わせます。毎日皮下注射するか、あるいは入院をして治療を行います。


●ヘパリンを持続的に点滴する治療は、すでに流・死産を繰り返している人の治療に向いています。出産まで入院するか、入院できない場合は、自宅で皮下注射を行う方法もあります。


●ガンマグロブリン大量静注という方法もありますが、治療費が高額になるため、経済面からみると実行しづらいところがあります。重症例に試みることがあります。


●ワーファリン(抗凝固薬) には催奇怪があり、ふつう妊婦には使いません。