膠原病

抗リン脂質抗体症候群

抗リン脂質抗体とは、細胞膜を構成するリン脂質という成分に対する自己抗体のことをいいます。この抗体がある人は、血栓や流産などが起こりやすくなります。おもに20代の若い女性に多い病気です。
抗リン脂質抗体症候群の特徴

抗リン脂質抗体症候群の分類

抗リン脂質抗体抗リン脂質抗体症候群は、1986年にヒューズという人が提唱し、自己免疫疾患のひとつに加えられるようになった病気です。
抗リン脂質抗体とは、細胞膜を構成する成分のひとつであるリン脂質、またはその結合タンパクに対する抗体のことをいいます。この抗体がある人は、動脈や静脈の血管が詰まる(血栓症)、妊娠をしても流産や死産を繰り返す、血小板が減少する、といった病態が起こりやすくなります。このようなケースにつけられる診断名が、「抗リン脂質抗体症候群」です
全身性エリテマトーデスなどほかの膠原病がもとにあり、それと併発して起こることも多く、その場合は「続発性杭リン脂質抗体症候群」といいます。また、もとになっている膠原病がなく、単独で起こることもあり、このような場合は「原発性抗リン脂質抗体症候群」と分類されます。

20代の女性に多い

20代の女性に多い杭リン脂質抗体症候群の患者数は、日本では約1700人(1997年調査)発病するのは20代の女性が多く、男女比は1対1.6です。原発性と続発性の割合はほぼ半々になっています。続発性の場合、合併する膠原病は、全身性エリテマトーデスが全体の78%を占めて圧倒的に多いですが、混合性結合組織病、血管炎症候群、関節リウマチ、シェーグレン症候群などとも合併します。
抗リン脂質抗体は、全身性エリテマトーデスの患者さんの30~50%くらいにみられるといわれます。また、とくに病気があらわれていない人でも、抗体だけをもっていることがあると思われます。ただし異常がない限り、抗体があるかどうかを調べる機会はなく、どれほどの人が抗リン脂質抗体をもつのか、はっきりしたところは不明です。

血栓が静脈にも動脈にも生じる

血栓が生じる血栓とは、血管の中に生まれる小さな血のかたまりのことです。血液の流れが悪くなると、できやすくなります。血栓は、脳梗塞など重大な病気を引き起こす要因にもなるため、注意が必要です。
一般的に、血栓を誘発するのは、肝臓病ネフローゼ症候群慢性腎炎炎症性消化管症候群といった病気のほか、大手術を受けたときや、エコノミークラス症候群(狭い座席に座り続けたりして足の血流が悪くなると、静脈に血栓ができる病態)なども知られるようになりました。抗リン脂質抗体症候群では、血栓が静脈にも動脈にも生じるのが特徴です。

全身性エリテマトーデスの人に多い

抗リン脂質抗体という抗体の存在が、初めて報告されたのは20世紀初頭です。それは、梅毒患者の血清の中から見つかりました。その後、研究が進むうちに、全身性エリテマトーデスの患者さんで、梅毒反応で偽陽性となる人のなかに、習慣流産血栓症血小板減少などが多いことがわかってきました。これがきっかけとなり、抗リン脂質抗体症候群という病気の姿が徐々に明らかにされていきました。
抗リン脂質抗体そのものは、全身性エリテマトーデスなどの膠原病のほかにも、梅毒やマラリア、エイズなどの感染症の患者さんからも見つかります。つまり抗リン脂質抗体は、抗リン脂質抗体症候群に特異的な抗体ではないため、さらにこの病気に特異性の高い抗体を検出する測定法が、追求されていきました。

抗リン脂質抗体の種類

抗リン脂質抗体には、いくつかの種類があります。なかでも現在、抗リン脂質抗体症候群を診断するうえで重要になっているのは、「抗力ルジオリピン抗体」という抗体です。また「ループス抗凝固因子」という抗体も重要です。
これらの抗体の一部は、梅毒反応偽陽性(ワッセルマン反応陽性+梅毒の病原体陰性)で見つかります。梅毒反応偽陽性とは、梅毒にかかっていない(病原体がない)にもかかわらず、血清反応は陽性を示すものです。
一般的には、試薬の中にリン脂質が含まれ、それに対する抗体があると陽性になるという反応を利用して、特定の抗リン脂質抗体があるかどうかを検出して、病気を判断します。

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